体内における酸素の輸送形式には、「結合型酸素」と「溶解型酸素」の2種類が存在します。
血液中に取り込まれた酸素の大部分は、ヘモグロビンと結合してオキシヘモグロビンを形成します。この形態の酸素を「結合型酸素」と呼びます。一方、ごく一部の酸素は物理的に血漿中に溶解しており、こちらは「溶解型酸素」として区別されます。
この違いには重要な生理学的意義があります:
結合型酸素は分子サイズが大きいため、狭小な血管壁を通過することが困難
溶解型酸素は分子が小さいため、高圧環境下で血液や体液(脳脊髄液、リンパ液等)に大量に溶解可能
特に、高気圧環境下ではこの溶解型酸素の量が顕著に増加(ヘンリーの法則に基づく)し、組織への酸素供給効率が向上します。
<医学的補足> 臨床的には「溶解型酸素」が重要となるケース:
・高圧酸素療法(HBO療法)
・潜水医学
・高山環境適応……